株式会社GCリンフォテック取締役会長
元国立がんセンター研究室室長
医学博士 関根暉彬

外科手術でがんを切除しただけでは、完治したとはいえません

がんと診断された方の半数以上が、がんを克服できていないことが統計データから推測されます。
皆さんはどうでしょうか?手術がうまくいったと聞くと治ったと思い込んでしまいませんか?

近年では検査技術の発達により早期発見が可能となり、また、医療技術の向上によって比較的容易に手術でがんを切除することができるようになりました。・・・にもかかわらず、統計上がんを克服できていない方は増加しています。
なぜでしょうか?

その原因は再発です。ほとんどのがん種で手術後に一定の確率で再発が起きています。ぜひ、覚えていただきたいことがあります。がんは、再発する性質を持っているということを。

再発の主な要因

  • (1)手術でとりきれなかった、目に見えない小さながんが徐々に大きくなっていった。
  • (2)大きくなっているがんでは、他の場所に転移していることが多い。
  • (3)新たにがんが発生する

外科手術後、このがんの再発を防ぐことが非常に重要になってきます。言い換えれば、再発を防ぐことができればがんは恐い病気ではなくなります。従って、手術後、再発予防を目的とした治療を行う必要があります。

手術を行った患者さんで再発しない方ももちろんおりますので、再発予防の治療には、何もしなくても再発して来ない方も含まれます。そこで、再発予防の治療を行う際は副作用の少ない方法や、QOL(生活の質)の低下を引き起こさない治療を選択することが重要です。

再発予防効果を検証する臨床試験の開始

私は、開発した活性化自己リンパ球療法が、このがんの再発の防止に寄与できればと思い、1997年から手術後の肝臓がんに対する再発予防効果を検証する臨床試験を開始いたしました。臨床試験の結果、活性化自己リンパ球は、肝臓がんの再発予防に効果があることが判明いたしました。この臨床試験の結果で最も重要なことは、免疫で再発が防げることを証明したことです

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抗がん剤等を用いて再発予防を行うと、その副作用によりQOL(生活の質)を損なう恐れがあります。それ故、再発予防にはできる限り副作用の無い再発予防の方法が望まれますが、活性化自己リンパ球療法は副作用がほとんど無く、この点においても、再発予防の治療に適しています。

今まで、がんの再発予防を目的に長い間研究を行ってまいりましたが、再発予防の治療は、その効果の途中経過を数値としてみる方法は非常に難しく効果の判定も困難でした。さまざまな解析の結果、アンチエイジングの指標として用いられているDHEA-Sの血液中値で効果を追跡できる可能性がでてきました。

活性化自己リンパ球投与後、元気で生活している方(QOLが良好の方)は、DHEA-Sの値が上昇しています。一方、DHEA-Sの値の低い方では、予後はよくありませんでした。また、長期にわたって観察できた例では、元気に生活している方は、DHEA-sは高い値を維持していますが、数年後にDHEA-sの値が低下した方にがんが再発した例が確認されました。

がんは再発が予防できれば、恐い病気ではありません

まだ解析方法が完全に確立されていませんが、このDHEA-sをモニタリングすることで、従来よりも厳密な再発予防の治療を行うことができると考えています。今後もがんの再発予防を確実に行えるよう研究を重ねて参ります。がんと診断された方が、がんの再発を予防することの重要性を理解し、適切な治療を行うことにより、がんを克服できることを切に願っています。

繰り返しになりますが、
「がんは再発が予防できれば、恐い病気ではありません。」
「がんは再発予防が重要です。」