大腸がん治癒切除後のステージ別再発率

ステージ がんの状態 3年までの
発生率
5年までの
発生率
5年以降の
再発率
全再発率
1 がんが大腸壁にとどまるもの 2.6% 3.6% 0.15% 3.7%
2 がんが大腸壁を超えているが、
隣接臓器におよんでいないもの
10.3% 12.4% 0.94% 13.3%
3 リンパ節転移のあるもの 26.8% 30.1% 0.67% 30.8%
years_2_001

(大腸がん治療ガイドラインP.60表7より作成)

上の表はステージⅠ~Ⅲの大腸がんにおいて、目に見える範囲のがんはすべて取り除く手術を行った人を対象に3年、5年経過後のステージ別再発率を表したものです。表から、再発のほとんどが、手術後5年以内に起こっているのが見て取れます。

中には乳がんのように、再発までの期間が5年以上にもおよぶ可能性が高く、経過をもっと見ないといけないがんもありますが、多くのがんは手術を受けてから最低5年間は、定期的に検査を受ける必要があるとされています。その意味でも、5年生存率のデータは再発の可能性を推測する一つの手がかりになると考えています。

肝臓がんの5年生存率

では5年生存率のデータから推測される再発の可能性について例を挙げてみたいと思います。

ステージ がんの状態 1年 2年 3年 4年 5年 6年
1 直径2cm以下、1個 91.3% 91.3% 85.7% 79.6% 77.1% 60%
2 直径2cm以下、複数または直径2cm以上、1個 95.0% 87.0% 81.6% 76.0% 67.8% 315%
3 直径2cm以上、複数 89.8% 82.3% 73.8% 56.1% 47.9% 151%
4 広い区域に複数 77.9% 55.7% 41.4% 33.4% 24.5% 166%
5 89.4% 79.0% 70.8% 61.6% 53.8% 692%
years_2_002

(国立がんセンター中央病院1990~2000年症例)

これは肝臓がんのステージⅠ~Ⅳにおける生存率です。例えばステージⅡでの2年後の生存率は87.0%。ということは残りの13%は再発してしまったと推定できる、というわけです。生存率はあくまで生存か否かのデータなので、純粋に再発のみを考えると、ここから計算される数値よりももう少し多いのではないかと思われます。

ここでは肝臓がんを例に挙げて説明しましたが、生存率はステージだけでなくがんの種類によっても大きな差があります。胃がん、乳がん、肺がん、膵臓がんそれぞれの、ステージⅡの5年生存率を挙げると、胃がんでは80.9%、乳がんでは78.6%と7~8割であるのに対し、肺がんでは46.4%、膵臓がんでは55.6%と低くなっており、がんの種類によっては再発しやすいがんとそうでないがんがあるということです。

また、おなじがんで同じステージであっても、できた場所やがんの性質などによって再発リスクは変動します。
そして何より、患者さん自身の健康状態が、再発のしやすさ、しにくさに影響を与えると考えられます。

以上のことから、生存率の数値をもとにした再発リスクの可能性は、ひとつの目安として受け止めていただければと思っています。

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