65歳、女性。7回経妊、4回の経産

現病歴:性器より出血が認められため、近医受診したところ、初診時に右小陰唇に11mm大の黒色腫瘤を認め、外方に隆起、結節を形成し、一部は自壊し周囲の粘膜下に小さな浸潤病変を伴っていました。また、右側膣壁にも10mm大、9mm大の黒色腫瘤及び、周囲の粘膜下に多数の衛星病変を認めました。組織診では悪性黒色腫と診断され、入院後、化学療法後、手術の方針としました。

入院時、腫瘍は初診時より肉眼的に明らかに増大し急速に発育していました。12月10日よりDAV+IFN-β療法(DTIC 200mg×5日、ACNU 100mg、vindeine 1mgを全身投与。インターフェロンβ 300万単位/日を腫瘍周囲に10日間連日局注した)を開始しましたが、腫瘍は短期間の間に明らかに増大し続け、約1.5倍量になり、浸潤腫瘍数も増えた為、手術療法を決定しました。外陰切除、皮膚移植術、膣摘出術、腹式単純子宮摘出術、骨盤リンパ節郭清、鼠径リンパ節郭清手術を施行。皮膚切開は腫瘍より4cm以上離して行いました。

主要黒色病変は外陰と膣の境界部に1か所、膣に2か所あり、6~8mmの深達度で周囲皮下に浸潤していました。リンパ節の転移は認められなかったが、組織内血管浸潤がみられました。

術後経過:術後、DAV+IFN-β療法は無効と判断し、CDV+IFN-β療法(CBDCA 450mg;expected AUC 4.5、DTIC 200mg×5日、vindesine 2.5mgを全身投与。インターフェロンβ 300万単位/日を皮膚移植周囲に局注、10日間)を開始し、3週間ごと5コース施行した。さらに活性化自己リンパ球療法(免疫療法)を4週間に一度併用しました(4回施行)。術後経過は良好で、退院となりました。

外来でCDV療法1コース(計6コース)終了後、1ヶ月ごとの活性化自己リンパ球療法を12回施行しました。その後フォローしていますが、1997年4月現在(術後2年4ヶ月)、再発は認められていません。

本内容はBiotherapy,11(4),567-570 1997より抜粋致しました。

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