『転移』

転移とは、がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器に移動し、そこで成長したものをいいます。

大腸がんの転移には

・浸潤:腸の粘膜を破壊しながら進み、腸の壁を突き破って周囲の組織や臓器に広がる転移
・リンパ行性転移:リンパ管にがん細胞が侵入し、リンパ液に乗ってリンパ節などで増殖する転移
・血行性転移:静脈にがん細胞が侵入し、血液に乗って他の臓器で増殖する転移
・腹膜播種:がんが腸の膜を貫通したのち、腹腔内にがんがちらばった転移
があります。

大腸がんではリンパ節や肝臓や肺への転移が多くみられます。
がんを手術で全部切除できたように見えても、その時点ですでにがん細胞が他の臓器に移動している可能性があり、手術した時点ではみつからなくても、時間がたってから転移として表れることがあります。

『再発』

再発とは、治療によって目に見える大きさのがんがなくなったあと、再びがんが出現することをいいます。
大腸がんでは、再発した患者さんのおよそ80%は手術から2年以内の再発で、手術後の経過観察がとても重要です。手術で切除した場所のすぐ近くに再発する場合と、肝臓や肺、骨などに転移 した状態で再発する場合があります。

大腸がんの再発リスク

大腸癌の再発率に影響する要素として、がんの進行度を表す病期や実施した治療法、食事を含めた手術後の生活習慣などがあります。

進行度によるリスク

進行度が上がるにつれて、がん細胞が他に部位に広がって潜んでいる可能性が高くなります。たとえ検査で発見できなくても、がん細胞が潜むリスクは大きくなります。そのため、進行度が上がるほど再発リスクは高くなります。

実施した治療法によるリスク

過去にどのような治療を行なったかも重要です。手術を単独で行うよりは、補助化学療法を加えることで再発率は低下することがわかっています。転移がなければ手術単独でもよいのですが、取り残しが疑われたり、リンパ節をはじめ、転移が疑われる場合には再発リスクは大きくなります。また手術では、リンパ節を切除するリンパ節郭清の範囲も重要です。必要な範囲を切除できていないと、リンパ節転移で再発する原因になってしまいます。この郭清範囲は、予後を左右する重要な要素です。

手術後の生活習慣によるリスク

大腸がんは、生活習慣に大きく影響を受けます。元々罹患した時点で、大腸癌になりやすい生活を送っている可能性が高いと考えられます。そのため、食事や運動習慣を見直すなど、生活習慣によるリスクの軽減を考える必要があります。