活性化自己リンパ球療法 – 論文集 –
1.肝臓癌(再発予防等)に関する報告
2.肝臓癌以外の腫瘍に関する報告
3.メカニズムに関する報告
4.癌以外への応用(感染症)に関する報告

活性化自己リンパ球療法のがん再発予防における効果は、当社代表取締役の関根らにより、実際に臨床試験を行って検証されており、世界的に有名な医学論文誌『Lancet』に掲載されたという実績があります。つまり、活性化自己リンパ球療法の再発予防効果には確かなエビデンス(証拠)がある、と認められたということです。その内容について、ご説明いたします。

臨床試験は、1992年から1995年の4年間で、手術により完全にがん組織を摘出できた肝臓がんの患者様150人を、無作為に2つのグループに分け、一方のグループには活性化自己リンパ球療法を施し、もう一方のグループは経過観察する、という方法、すなわち、無作為化比較試験で行われました。活性化自己リンパ球療法は、半年間で5回の投与というスケジュールで行われました。

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無作為化比較試験とは、研究にご協力いただく患者様の集団を、何の意図も入らないまったくの偶然で2つのグループに分けたうえで試験を行い、それぞれのグループを比較するという方法です。治療の有効性を検証する際に、もっとも客観的かつ偏りのない方法であり、もっとも信頼性の高いエビデンスが得られる方法です。新薬を開発する際にも、最終的な有効性の証明は、無作為化比較試験により行われます。

この試験は肝臓がんの患者様を対象にしています。肝臓がんは、ほかのがん種と比べて、再発を繰り返しやすいという特徴があり、手術で全部取れたとしても、術後3年で70%再発するという統計データがあります。つまり、肝臓がんを手術や放射線などで治療したとしても、それで安心はできず、近い将来の再発を覚悟しなくてはいけない、というわけです。そういった特徴を持つ肝臓がんに関して、活性化自己リンパ球療法が再発予防策の新たな一手になる布石となれば、とこの臨床試験を計画しました。

基礎研究レベルでは、活性化自己リンパ球が肝がん細胞を殺傷する活性があることがわかっており、臨床レベルでは、ステージⅣという進行した肝臓がんの症例に対して活性化自己リンパ球を投与したところ、5年以上生存した例もありました。こうしたことから、活性化自己リンパ球療法に肝臓がんの発生を抑える効果が期待できるのではないか、という見込みがありました。

結果は「効果あり」でした。

lancet_graphLancet 2000;356:802-07

活性化自己リンパ球投与をおこなったグループ76人の5年後の再発率が59%であるのに対して、経過観察したグループ74人の再発率は77%でした。これを逆に無再発率でみると、リンパ球投与グループの無再発率は41%、経過観察したグループの無再発率は23% になります。この後者の23%という数字は、肝臓がん切除後の5年生存率がおよそ2割という従来の治験と一致します。

つまり、活性化自己リンパ球療法は、5年目における手術後肝臓がんの無再発率を、23%から41%へ、18ポイントも引き上げたのです。また、肝臓がんの平均再発期間は手術後1.6年ですが、活性化自己リンパ球投与患者の平均再発期間は2.8年という結果が出ました。つまり、活性化自己リンパ球療法を行うことで、統計上1.2年も再発までの期間が長くなったのです。

これらの結果から、活性化リンパ球治療は明らかに、肝がんの無再発率を上げ、平均再発期間を伸ばす、という有効性が確かめられ、論文として2000年に英医学雑誌『Lancet』誌に掲載されました。

現在さまざまな種類の免疫療法が存在し、症例報告は学会等で数多くおこなわれていますが、エビデンスとして信頼度の高い無作為比較試験で治療効果を証明したのは、LANCETに掲載されたこの論文だけです。

上のグラフを見てください。上が活性化自己リンパ球治療を行った群、下が対照群(経過観察した群)です。両方のグラフの推移に注目しますと、対照群は切除手術後2年くらいの間で傾斜が急になっています。つまり、切除したものの再発してしまった人が多い、といえます。それに対し、活性化自己リンパ球治療を行った群では傾斜がゆるやかです。2年を過ぎると、両者はほぼ同じような推移をたどっています。

この結果から考えられるのは、活性化自己リンパ球療法は切除手術直後に効果を発揮しやすいのではないか、ということです。切除後に残っている見えないレベルのがん細胞を攻撃し、排除することで再発を抑えるというのが、活性化自己リンパ球の主な効果なのではないだろうかと推測されます。