抗がん剤

抗がん剤は、がん細胞の分裂を抑えたり、死滅させたりする目的で使われる薬です。基本的には血液にのって全身をめぐりがん細胞に対して作用するので「全身療法」にあたります。再発予防は場所を特定できないがん細胞に対して行なわれるので、全身療法である抗がん剤は適しているといえます。ただし、抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも攻撃してしまうため、毛母細胞や消化管の上皮細胞などにもダメージが及びます。副作用として脱毛や吐気がおこるのはこのためです。したがって、再発予防目的で抗がん剤を使用する場合は、再発のリスクの高さに応じてメリットがデメリットを上回るよう計画を立て、治療を受ける必要があります。

放射線療法

放射線療法は、細胞のDNAをねらい撃ちして壊し、分裂をさせなくすることでがんの進行を抑えるというもので、比較的小さながんに適している治療法です。放射線療法に必要なエネルギーは微々たる量で治療中に熱さや痛みを感じることはありません。再発予防の目的では、手術後に切除しきれず残ったがんをねらって照射する方法や、残っている可能性が高い場所に照射する方法で行われます。副作用としては、皮膚の発赤やひりひりした感じがあげられます。のどに照射した場合は、食べ物が飲み込みにくい場合もあります。ただし、副作用の内容や程度には個人差があり、照射後2~3ヶ月で軽快していくものがほとんどです。

分子標的薬

がんの研究が進むに従って、細胞のがん化やがん細胞の増殖に深く関わっている分子 が明らかになってきました。分子標的薬は、そのようながんの増殖に関わる分子のみに作 用し、がんの増殖を抑えることを目的に開発された新しいタイプの抗がん剤といえます。つ まり、がん細胞のみに働いている分子を狙い撃つことができれば、正常な細胞や組織に影 響を及ぼさないので、副作用が軽くなると考えられます。現在では分子標的薬を適切に評 価する研究も進み、どのような人に効果があるのかが解明されつつあります。ただし副作 用が全くないというわけではありません。また、高価な薬が多いので経済的な負担が増す 可能性があります。

ホルモン療法

がんの中には、その成長や増殖のためにホルモンを必要とするものがあり、いってみればホルモンががんの「えさ」になっています。主なものに、乳がん、子宮体がん、前立腺がんがあります。ホルモン療法は、このがん細胞の「えさ」であるホルモンを断ち、成長を妨げるのが目的ですが、がん細胞の性質によっては効果を発揮する場合とそうでない場合があります。したがって、ホルモン療法を行なうかどうかは、手術で切除したがん組織を調べてから判断することになります。ホルモン療法は、抗がん剤と同じ「全身療法」にあたりますが、副作用が少ないので、 手術後の再発予防に適してしているといえます。

免疫細胞療法

免疫療法は、体の免疫システムやそれに関わる細胞を利用して行う治療法の総称であり、いくつかの治療法に分ける事ができます。たとえば、免疫システムのなかにはがん細胞を直接攻撃する細胞がありますが、それを増やす事でがんの排除を目指す方法には、「免疫細胞療法」があります。当社で行っている「活性化自己リンパ球療法」はこの療法に入ります。そのほかに、リンパ球にがん細胞などの抗原情報を伝える樹状細胞を使う方法には樹状細胞療法、がん細胞を攻撃する細胞を誘導することで結果的にがんの排除を目指す方法にはペプチドワクチン療法があります。

樹状細胞療法

樹状細胞療法とは、リンパ球が樹状細胞などのような情報伝達する細胞から、情報を受け取って活性化し、がん細胞を攻撃するというメカニズムを応用した治療法で、対外で樹状細胞やがん細胞、がん抗原を混ぜて培養してがん抗原の情報を取り込ませ、その後樹状細胞を患者に投与して、体内のリンパ球を活性化させるというものです。 ただ、樹状細胞自体には攻撃する能力がないことや、患者の免疫機能が低下している場合、効率よくリンパ球が活性化できるかどうかなどの課題が残っており、効果や安全性の面で確認途中という段階です。

がんペプチドワクチン療法

がんペプチドワクチン療法は、ペプチドワクチンを注射することによって、患者さん本人が持っている 免疫力を高め、がんの成長や増殖を抑える療法です。副作用としてワクチンを注射した部位の発赤 やかゆみ、そのほかに発熱やだるさなどの副作用が報告されています。また、効果が出るまでに時 間がかかることや、抗がん剤等によって、免疫が低下した状態では効果が出にくいといった特徴もあ ります。こうしたことも含め、メリット、デメリットについてはまだ明らかになっていないことが多いので、 現在行われている臨床試験の結果等を受けて、さらなる検討が待たれます。