technology_howto活性化自己リンパ球療法とは、当社取締役会長の関根暉彬が開発した療法で、弱まった免疫力を回復させてがんと戦う力を高める、免疫細胞療法と呼ばれるがん治療です。
がん細胞の増殖を抑える役割を担っている免疫細胞「リンパ球」を、がん患者様本人の血液(約30ml)から取り出し、活性化させながら約1000倍に増殖させ、そのリンパ球を患者様の体内に戻します。
がんの再発予防、がんの進行抑制、QOLの改善に効果が期待でき、患者様本人のリンパ球を使用するため、副作用が極めて少なく、ほぼ全てのがんに適応できます。
また、活性化自己リンパ球療法は免疫力を高める治療のため、がん治療だけでなく、ウイルス感染症治療、アンチエイジングといった分野への応用も期待されています。
※当療法は医療保険適用外となります。

リンパ球とは

リンパ球とは、脊椎動物がもっている免疫細胞のなかの白血球の一種です。
リンパ球の中にも種類があり、その中にはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)、T細胞、B細胞があります。
T細胞とB細胞はそれぞれTリンパ球・Bリンパ球とも呼ばれます。
またリンパ球は大きさで分けることもでき、6~9μmのものは小リンパ球、9~15μmのものは大リンパ球に分類されます。

B細胞は自身で抗体を作り出し、その抗体を体液中に流れている病原体や毒素と結びつけることによって、それらを無力化します。

T細胞はさらに二つにわけられ、ヘルパーT細胞とキラーT細胞が存在します。ヘルパーT細胞は前述したB細胞が抗体をつくるのを助けたり、マクロファージ(食細胞)が病原体を退治する力を強化します。キラーT細胞はウイルスに感染したり、がん等の異常をきたした細胞だけを選別して殺します。
キラーT細胞は異常をきたした細胞を殺すことから細胞傷害性T細胞ともよばれます。この英語 Cytotoxic T Lymphocyte からCTLと表記されることもあります。このキラーT細胞はT細胞レセプターと呼ばれる抗原レセプターを表面に出し、このレセプターを使って病原体に感染したり、がん化した細胞を見つけ出して殺します。
ちなみにB細胞の「B」は、それが作られる骨髄(Bone marrow)の頭文字、T細胞の「T」はそれが作られる胸腺(Thymus)の頭文字から採られています。

活性化自己リンパ球療法の開発

movie_off免疫細胞療法の始まりは、1980年代初めにアメリカ国立がん研究所(NCI)のローゼンバーグ博士らが開発したLAK療法です。 LAK療法はIL-2(細胞活性物質)でNK細胞を活性化させ点滴で投与する治療法ですが、NK細胞は増殖に限界があり、あまり細胞は増えません。また、多量のIL-2を同時に投与するため、その副作用があります。この副作用が重く、効果もほとんど少ないということから、現在ではほとんど行われない治療法となりました。 そのLAK療法の経験を踏み台にして、1980年代後半、当社会長の関根暉彬らが国立がんセンター時代に活性化自己リンパ球療法を開発しました。 活性化自己リンパ球療法はT細胞を抗CD3抗体やIL-2で活性化させながら約1000倍と大量に増殖させることができ、投与する時には抗CD3抗体やIL-2を取り除くため、重い副作用をなくすことができました。 さらに技術改良を重ね、免疫細胞療法の元祖として確立させました。 そして、肝臓がん手術後の再発予防効果について臨床試験を行って、その効果を証明しました。

NK細胞

免疫を語る際に、必ずと言っていいほど登場するのがこのNK細胞(ナチュラルキラー細胞)です。このNK細胞は自然免疫系に属する細胞で、血中に浮遊する、病原体に感染した細胞やがん細胞などと戦う役目をしています。NK細胞は他の細胞に比べて大きく、細胞内に顆粒を有していることから、大型顆粒リンパ球とも言われます。この顆粒は細胞を傷害するための物質を含んでおり、これを利用してウイルスに感染した細胞を排除します。
NK細胞は血管内を浮遊しており、特に何もしない状態でも、自己と非自己を見分け、血中に存在する異常をきたした細胞を攻撃します。しかし、NK細胞はT細胞に比べると、がん細胞に対する殺傷能力が1/3程度と低く、また血管壁を透過してがんの病巣まで到達することが困難であるといわれています。その為、NK細胞療法は、それを有効と示す学術的な報告はほとんど無いのが現状です。

当社では、がん細胞を殺傷する力の強いT細胞を患者さまの血液から取り出し、優先的に活性化・大量培養した後に、患者さまにお返ししております。

活性化自己リンパ球療法の効果と証明

活性化自己リンパ球療法の効果の検証は、肝臓がんの手術後の再発予防として臨床研究を実施しました。肝臓がんは手術で目に見えるがんを全て取り除いても、手術後3年で70%再発することが知られています。
臨床研究はエビデンスの信頼度が最も高い無作為化比較試験で検証され、その結果が、英国医学雑誌「Lancet」に掲載され、エビデンスのある治療法として世界の医学会で認められました。
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現在さまざまな種類の免疫細胞療法が存在し、症例報告は学会等で数多くおこなわれていますが、信頼度の高いエビデンスとして治療効果を証明したのは、「Lancet」に掲載されたこの活性化自己リンパ球療法だけです。

開発者紹介

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取締役会長 関根暉彬
1967年~1999年 国立がんセンター研究所勤務
1972年~1978年 補体に関する研究
1967年~1971年 HBウイルスに関する研究
1977年 医学博士号(東京大学)取得
1978年~1980年 ミシガン州ウイリアムボーマンホスピタル免疫研究室留学
1981年~1986年 モノクローナル抗体に関する研究
1986年 国立がんセンター研究所共通実験室室長就任
1987年~ 活性化自己リンパ球療法に関する研究
1999年3月 国立がんセンター定年退官
1999年4月 株式会社 リンフォテック設立 代表取締役社長就任
2014年4月 同社取締役会長就任
~1999年3月 北里研究所客員部長(非常勤)
1998年4月~ 東京医科歯科大学医学部非常勤講師
1998年9月~ 感染症細胞治療研究会代表理事
1999年4月~ 日本大学医学部客員教授
1999年10月~ 東京女子医科大学客員教授田宮賞(がん研究振興財団)受賞