ガイドライン (ガイドライン)
- ガイドラインとは、科学的に信頼度の高い、診断や治療の基準をまとめた指針のことをいいます。厚生労働省や学会(医療従事者が病気について議論する大きな学術会議)がまとめています。最新治療を含む多くの情報の妥当性や有効性、安全性を整理して、科学的な視点(EBM)から診断方法、検査方法、治療方法などの指針を示したものです。標準治療をはじめ各種の治療について推奨度や推奨理由が記載されています。病気によっては、医師向けだけでなく、患者さん向けのものも発表されています。
化学療法 (カガクリョウホウ)
- 元々は細菌やウイルス疾患などに対して抗生物質や抗ウイルス薬などを使って治療することを指しますが、がん治療の領域では、抗癌剤(化学物質)を使ってがん細胞を攻撃する治療を指します。抗癌剤は細胞分裂の邪魔をする性質がある為、増殖の盛んな癌細胞の治療に適していますが、がん細胞だけでなく短時間で分裂する正常な細胞も壊すため、一般にそれによる多くの副作用も伴います。
喀痰細胞診 (カクタンサイボウシン)
- 肺がんの検査の一つで、痰(たん)を採取して痰(たん)の中にがん細胞が含まれているかどうかを顕微鏡で調べる検査です。肺がんになっていると、がん細胞がはがれて痰(たん)に混ざります。痰(たん)の中の細胞を染色し、顕微鏡で痰(たん)を観察し、がん細胞の有無を調べます。
活性化 (カッセイカ)
- 免疫でいう「活性化」とは、休止状態にある免疫細胞が刺激され、活発になる事をいいます。活発になると、細胞は急激に細胞分裂を始め、劇的に細胞数をふやして外敵と戦う兵隊、仲間を確保します。
合併症 (ガッペイショウ)
- ある病気に関連して起きる新たな病気のことをいいます。ある病気が原因となって起こる他の病気や、検査や治療の結果新たに起こってきた病気も合併症と呼びます。治療法を選択する時、単独の病気だけでなく、がんの進行、あるいは治療に伴い、どのような症状が起こりうるかについても知ることが大切です。
寛解 (カンカイ)
- 寛解とは、一時的か永久的かに関係なく、病気の症状が好転又は消失する事を示し、完治しなくとも、臨床的に問題ない所まで状態が良くなることを言います。なので、これらは症状の変化についての表現であり、がんそのものが治癒したという意味ではありません。
感染症 (カンセンショウ)
- 感染症とは、微生物が体内に入り、共存することを「感染」と呼びます。ヒトの体には生来、無数の微生物がすみついていますが体に影響はありません。ところが、毒性の強い微生物が身体の中に進入し増殖した場合には、ヒトの身体に重大な症状を引き起こすことがあります。この状態を「感染症」といいます。また、免疫力の低下した状態では、毒性の弱い微生物でも感染症が起こりえます(=日和見感染症)。感染症の症状は、感染した微生物や臓器によってさまざまです。
眼底検査 (ガンテイケンサ)
- 眼底検査は、臓器としての眼底(網膜、視細胞が密に集まる黄斑部、視神経の出口など)を観察する目的の他に、眼底は人間の臓器で唯一、体外から直に動脈(網膜動脈)を観察できることから動脈の状態(主に動脈硬化、糖尿病、高血圧による動脈の変化など)を観察する目的とがあり、健診などに多く取り入れられています。
がん登録 (ガントウロク)
- がん患者さんについて、診断、治療およびその後の転帰に関する情報を収集し、保管、整理、解析する仕組みのことです。 患者さんとその家族、主治医、医療機関に、何らかの危険・不利益が及ぶことがないように、従事する職員には厳密な守秘義務が課せられるなど、さまざまな安全保護対策が講じられています。
がん取扱い規約 (ガントリアツカイキヤク)
- がん取扱い規約とは、日本で編集されている規約で、がんを取り扱う臨床医や病理医に欠かせない基本的知識と約束事をまとめたものです。臓器別に国内の学会や研究会によって編集され、数年おきに改訂されます。現在は主要ながんについて、20を超える取扱規約が作成されています。
がん抑制遺伝子 (ガンヨクセイイデンシ)
- がん抑制遺伝子とは、がんの発生を阻止するタンパク質を設計する遺伝子のことをいいます。抑制遺伝子が損傷することなどにより、がん抑制タンパク質が作られなくなり、損傷遺伝子からの異常ながん抑制タンパク質が正常がん抑制タンパク質の機能を阻害すると、組織特異的にがん化が起き、がんのリスクが高くなると考えられています。
がんワクチン療法 (ガンワクチンリョウホウ)
- がん細胞に存在する成分のうち、免疫細胞が標的として認識できる構成成分を投与することでこれに対する免疫を誘導し、免疫細胞にがんを攻撃させる治療方法で、がん細胞を攻撃する免疫力を高めて、治療が可能になることを狙って行われます。がんワクチンはこれまでのがん治療と効果の指標が異なる(延命効果、再発予防効果などに優れている)こと、またその効果を正確に見るためのデータ解析方法がこれまでと異なること等が公に認められつつあり、現在、多くの候補薬剤について海外・国内で臨床試験が行われています。効果の発現(免疫誘導)に時間がかかるものと目されているため、効果発現の早い活性化自己リンパ球移入療法などの免疫細胞療法と組み合わせることにより効果的な治療が出来ると期待されています。
緩和ケア (カンワケア)
- がんそのものを治す治療ではなく、がんに伴う身体や精神の問題や、痛みや倦怠感などさまざまな不快な症状を改善することで、QOL(生活の質)の維持、向上を目指す診療行為全般を言います。これまでは緩和ケアの中には原則治療的なことは取り入れられてきませんでしたが、最近では少量の放射線や抗がん剤が用いるところもあるなど、その手法も多様化してきています。
気管支鏡検査 (キカンシキョウケンサ)
- 気管支鏡検査とは、特殊な内視鏡を鼻または口から入れて、喉から気管や気管支の中を観察し、口や鼻と肺をつなぐ気管支を調べる検査です。主に、肺がんが疑われる場合などに行われます。検査の際には、麻酔(局所麻酔)をして行います。観察するだけでなく、先端に器具(鉗子)をつけることが可能で、組織や異物、分泌物をとったり、その場でレーザーを照射して、がんを治療したりすることもあります。
QOL (Quality of Life:クオリティ オブ ライフ) (キューオーエル)
- 生命の質、生活の質などと訳されていますが、適訳がなく、現在では英語あるいは略語のQOLをそのまま使用していることが多いようです。 QOLは人それぞれによってとらえ方、感じ方は異なりますが、基本的には人間としてより充実した生活を送るために、その生活の質や人生の質を重視し、肉体的、精神的、社会的に良好な状態を保つ、あるいは向上を目指す考え方をいいます。高齢者の福祉、精神医療、終末医療など、さまざまな分野でその重要性が唱えられています。
胸腔鏡検査 (キョウクウキョウケンサ)
- 胸腔鏡検査とは、胸に小さな穴を数カ所開けて、そこから胸腔鏡と呼ばれる内視鏡や検査器具などを入れて行う検査です。肺を観察するだけではなく、器具を使って肺がんが疑われる組織をとり(生検)、顕微鏡で観察して診断することも可能です。口または鼻から内視鏡を入れる気管支内視鏡検査では、十分に観察できない場所の観察も可能です。病状によっては、そのまま胸腔鏡手術に移行できるのも大きな利点です。体にメスをいれて切り開く場合に比べて、検査や手術の身体的負担がかなり軽いため回復が早くなります。
強度変調放射線治療(IMRT) (キョウドヘンチョウホウシャセンチリョウ)
- 強度変調放射線治療とは、腫瘍部分のみに放射線を集中して照射できる新照射技術です。装置を回転させつつ、患部だけに強力な放射線があたるように、角度によって違う強度の放射線をあてる方法です。従来の放射線治療、三次元照射より更に細かく放射線照射形状を設定することによって、できるだけ、周囲の正常組織に影響を及ぼすことなく、がん組織のみを狙い撃ちします。主に頭頚部がんに対して治療が行われています。また前立腺がんなど体幹部の固形がんに対しても全国で有効性を検討中です。
局所再発 (キョクショサイハツ)
- 局所再発とは、最初にできたがんの場所近くに再びがんが見つかることをいいます。治療によりがんが治ったと思われる場合や、検査ではわからない程の小さながんが残っていたり、みえないけれどもがん細胞が周囲に広がっていたりして最初にできた場所の近くにしばらくたってからがんが見つかることがあります。
キラーT細胞(細胞障害性T細胞、CTL) (キラーティーサイボウ)
- キラーT細胞とは、リンパ球の中のT細胞の一種をいいます。名前の通り殺し屋細胞です。ヘルパーT細胞からの指令で、感染した細胞にとりついてその細胞を殺します。
禁煙治療 (キンエンチリョウ)
- 喫煙習慣は、たばこの煙に含まれるニコチンに体が依存してゆくことで形成されます。ニコチンは依存性が非常に高い物質ですので、本人の意志の力だけで禁煙するのは困難です。禁煙を楽に、確実に成功させるためには、禁煙補助薬を使うことが効果的です。禁煙補助薬を用いた禁煙は、薬局・薬店で購入できる市販薬(OTC薬)を用いる方法と、医療施設で処方薬を用いた禁煙治療を受ける方法があります。医療施設での禁煙治療では、禁煙補助薬の処方のほか、禁煙を継続しやすいように医師からの助言などを受けます。 最近では、「禁煙外来」などを設けて禁煙を支援するための治療を行う医療施設がふえています。医療施設での禁煙治療は、一定の条件を満たした場合、合計5回までの外来受診の治療費が公的医療保険の適用になります(保険適用になるかどうかは、医療施設に事前に確認しましょう) 。
禁忌 (キンキ)
- 禁忌とは、危険な状態になることが予測されるため、行ってはならない治療や薬物の使用のことをいいます。患者さんによって効果的な治療法と、悪影響のある治療であったりするので、別の症状がでたりすることがあります。患者さん、一人ひとりの体質、病状、合併症などが違うため、薬の飲み合わせや治療法について、これこれの場合には使ってはいけない、というルールが定められています。薬や治療法を医師が検討する上では重要な情報です。
近接照射療法 (キンセツショウシャリョウホウ)
- 近接照射療法とは、放射線療法の一つで、がんの内部或いは近くに小さな放射線源を埋め込み、そこからの放射線でがんを攻撃する治療法をいいます。組織内小線源治療とも呼ばれています。
均てん化(がん医療の) (キンテンカ)
- 均てん化(がん医療の)とは、全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるように、医療技術等の格差をなくすことをいいます。一定水準以上の医療技術が日本全体で広くあまねく受けられるようになることは重要な事で、がんの先端医療技術の開発も重要なのですが、既にある治療レベルをひろく浸透させるだけでも多くの患者の救命が可能になります。
グリーソンスコア (グリーンスコア)
- グリーソンスコアとは、癌の組織学的所見として、腺管の構造・構築や浸潤増殖のパターンを5段階にグレード分類するものです。前立腺がんの”悪性度”を 数値で表し、この数値が大きいがん細胞ほど、正常細胞との形態や機能の差が大きく、正常細胞と異なった行動をすると考えられます。スコアの決定は、がん組織を顕微鏡で観察したり、生化学検査で決まります。
グレード (グレード)
- がんの攻撃性(成長の早さなど)、進行度を表現する言い方です。がんの個々の細胞の性質を表すもので、がんのサイズや拡大の程度(ステージ)とは直接の関係はありません。なので、ステージが進んでいてもグレードが低いといった場合もあります。
血液検査(血算) (ケツエキケンサ(ケッサン))
- 血液検査(血算)とは血液細胞の数を数え、その形(形態)を観察し、診断に役立てる検査のことをいいます。最近では白血球、赤血球、血小板の大きさ、容積、数だけでなく、その形態も機械で判定することができるようになりました。血液検査だけでは病気を診断することは難しく、いろいろな検査を組み合わせて診断を確定し、病態を評価します。
血管造影 (ケッカンゾウエイ)
- 血管造影とは、血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れて、その管から造影剤と呼ばれる薬を流しながらX線装置を使って撮影し、血管の形や血液の流れを調べる検査です。肝臓に血液を送り込んでいる血管に細いチューブを挿入し、そこからX線を通しにくい造影剤を注入します。その後に体の外からX線を通してみると、内部の血管の分布状態を画像として読み取ることができます。
血小板 (ケッショウバン)
- 血小板とは、血液中の血液細胞の1種類で、出血を止める役割があります。血液が流れ出血した場合、血小板が破れた部位に付着し、まわりの血小板がどんどん集まってきます。その結果、血栓(かさぶた)がつくられ、血液の流出が食い止められます。血液を固まらせる働きを持つ血球なので、不足すると出血しやすくなります。
血小板減少 (ケッショウバンゲンショウ)
- 止血作用のある血小板の数が、主に治療により減少することを示します。抗がん剤や放射線による治療で、骨髄の血液細胞をつくる働きが低下し血小板が減少するため、出血が起こりやすくなります。極端に血小板が減少すると、脳出血や消化管出血などの重篤な出血を起こす危険が増してきます。
血中濃度 (ケッチュウノウド)
- 薬の血液中の濃度を表します。一般に薬を飲んでから、あるいは注射をしてから、約2時間後に血中濃度は一番高くなり、その後、時間とともに低くなります。その時間は薬によって異なります。薬は血中濃度が一定に達するまでは効果が現れません。また、一定の濃度を超え、一定時間以上その状態が続くと逆に中毒や副作用の症状が出てしまいます。
(原)がん遺伝子 (ゲンガンイデンシ)
- 原発巣とは、がんが最初にできた場所にあるがんのかたまりのことを示します。がんは最初、どこかの場所にできて、それが増えてかたまりを作り、大きくなるなかでがん細胞は周囲のリンパ節などへと広がり(浸潤)、血液中やリンパ液中を流れて原発巣を離れてまったく別の場所に転移して新たなかたまりを作り始めます。最初にどこにできたがんかを見極めることは、治療方針を立てるのに大切な情報です。ただし、原発巣が非常に小さかったり、発見しにくいところだったりする場合は原発巣がわからないこともあります。その場合は、ある程度の予測を立てながら、治療を進めていくことになります。
原発巣 (ゲンパツソウ)
- 原発巣とは、がんが最初にできた場所にあるがんのかたまりのことを示します。がんは最初、どこかの場所にできて、それが増えてかたまりを作り、大きくなるなかでがん細胞は周囲のリンパ節などへと広がり(浸潤)、血液中やリンパ液中を流れて原発巣を離れてまったく別の場所に転移して新たなかたまりを作り始めます。最初にどこにできたがんかを見極めることは、治療方針を立てるのに大切な情報です。ただし、原発巣が非常に小さかったり、発見しにくいところだったりする場合は原発巣がわからないこともあります。その場合は、ある程度の予測を立てながら、治療を進めていくことになります。
硬膜外麻酔 (コウマクガイマスイ)
- 背中に管(くだ)を挿入して脊髄の近くの硬膜の周囲に麻酔薬を注入し、痛みを感じないようにさせる方法です。手術の場合は、全身麻酔と併用することが多くあります。手術後に全身麻酔から覚めた後もこの管を残しておくと、局所麻酔薬や鎮痛薬を継続して入れられるため、手術による創(きず)の痛みを抑えることができます。
効果判定 (コウカハンテイ)
- 採用した治療がどの程度がんに効いているのかを判定することをいいます。薬による治療や放射線療法の効果を計る一つとして、CT検査、超音波検査、内視鏡検査などで、がんのかたまりがどの程度縮小したかを調べ、数値で示すします。効果判定の結果は、治療後の病状を確かめるためや今後の治療方針を検討する参考になります。一般的にがんは再発・転移しやすい性質を持っているので、がん治療後の定期検診は欠かせません。
抗がん剤 (コウガンザイ)
- 抗がん剤とは、がん細胞の増殖を妨げたり、がん細胞の死滅を促したりする作用をもった薬をいいます。錠剤やカプセル剤といった内服薬(飲み薬)と、点滴のように血管へ直接投与する注射薬があります。
硬結 (コウケツ)
- 体の表面や柔らかい組織が硬くなることをいいます。前立腺がんや口腔がん、乳がんなどでは、がんの存在を硬結としてとらえて医師の診察で見つけることができます。ただし、硬結は充血、炎症によってもみられる為、必ずしも硬い部分ががんだとは限りません。組織の表面が盛り上がってできた硬いこぶは腫瘤(しゅりゅう)と呼びます。
抗原 (コウゲン)
- 抗原とは、免疫反応のスイッチをONにするもので、一般的に細菌やウィルスの蛋白質です。この蛋白質を体が「敵」と判断し、免疫反応のスイッチがONになります。免疫反応は通常、がん細胞など異常な細胞も抗原として認識して攻撃します。
抗酸化剤 (コウサンカザイ)
- がんが発生する一因は、細胞内の活性酸素によりDNAが障害されるためであるという説があります。ビタミンEやベータカロチン等が抗酸化剤で、活性酸素の働きを抑えると考えられています。
抗CD3抗体 (コウシーディー3リョウホウ)
- 抗CD3抗体とは、T細胞の細胞表面に存在する目印の「CD3」を認識する物質です。抗CD3に反応したCD3はT細胞を活性化します。抗CD3抗体によってT細胞の活性化をコントロールし、活性化させることや抑制させることが出来ます。
酵素 (コウソ)
- 酵素とは体内で物質が化学変化し違う物質に変化するのを助ける役目を持つ蛋白質のことをいいます。生物が物質を吸収してから輸送・代謝・排泄に至るまでのさまざまな過程に関与している重要な役割をしています。
抗体 (コウタイ)
- 抗体とは、B細胞が生産するタンパク質で、ウイルスや細菌などの侵入者をめがけて攻撃する強力な武器です。抗体はウィルスや細菌などの情報を元にオーダーメイドで生産される為、種類は侵入者の種類ごとに一つ一つ違っています。
好中球 (コウタイ)
- 白血球の中の顆粒球の1種で、強い貪食(細胞質中に取り込み、消化してしまうこと)能力を持ち、細菌や真菌感染から体を守る主要な防御機構となっています。末梢血液中の白血球の中で最も数が多い種類です。
好中球減少症 (コウチュウキュウゲンショウショウ)
- 好中球減少症とは、血液中の好中球数が異常に少なくなった状態をいいます。化学療法や放射線療法により、骨髄に影響が及び、血球やリンパ球が減少することがあり、好中球と呼ばれる白血球の一種(上記)が減少することをいいます。
高度先進医療(平成18年10月より、「先進医療」) (コウドセンシンイリョウ)
- 開発途上ではあるが一般の保険診療で認められる医療の水準を超えた最新の先進技術に対し、厚生労働省が特に将来性があると判断したものについて、例外的に混合診療をみとめる制度で、その医療を実施できる医療機関、対象疾患は予め決められています。先端医療部分は全額自己負担、注射、投薬、手技など保険医療と共通な部分は保険適応で行われます。癌治療の領域では活性化自己リンパ球(移入)療法の他、重粒子線などの粒子線治療がその対象になっています。
高用量化学療法 (コウヨウリョウカガクリョウホウ)
- 高用量化学療法とは、大量の化学療法剤(又は放射線)を投与して、一気にがん細胞を殺そうとする治療法です。用量化学療法は骨髄に致死的な損傷を与えるので、通常は骨髄の自家移植と組み合わせて実施されます。対象となる癌は骨髄腫、リンパ腫、白血病の一部のタイプなどで、最初に実施した化学療法で良い反応がありながらも再発した場合に使われます。
光力学療法 (photodynamic therapy) (コウリキガクリョウホウ)
- 光力学療法とは、がん細胞に集まる性質のある光反応物質を体内に投与し、これに光線(レーザー)を照射させ活性化させることで光毒性反応を起こします。これによって局所的に悪性腫瘍を破壊し治療する方法です。
既往歴 (キオウレキ)
- 既往歴とは、生後今までにまでにかかったことのある主な病気のことをいいます。日常しばしばみられる病気(カゼなど)は含まれません。健康状態の移り変わり、出産経験、アレルギー歴、薬の副作用、輸血・妊娠・授乳の有無など、健康に関連することがらも既往歴に含まれます。既往歴から医師は患者さんの体質や治療の向き不向きを判別することができます。既往歴は自分で伝えないかぎり医師には伝わりませんし、アレルギー歴、副作用歴、妊娠歴などは時に命にかかわるケースもありますので、初めて訪れる医療機関や、手術が必要なときなど、正しく伝えることが重要です。
告知 (コクチ)
- 告知とは、病名や病態を医師が患者さんに伝えることをいいます。自分自身の病気の状態を知り治療を選択するという自己決定権の考え方からも、医師は本人に告知するのが一般的です。告知によって患者さんは自分の病状を知るだけでなく、病状を知ることで様々な治療の選択肢を知ることができ治療に積極的に取り組むことができます。また告知は患者さんやその家族にとって、患者さん自身が自分らしい生活を送るためにも重要なことです。しかし、一般的には『がん=死』と受けとめられているため、がんと告げられた患者さんは「頭の中が真っ白になった」と訴えることが多いです。よって、告知の後の心のケアが重要になってきます。
骨シンチグラフィー (コツシンチグラフィー)
- 弱い放射線を出す薬、放射線同位元素(RI)を利用し、骨にがんが転移しているかどうかを調べる方法です。患者の静脈に骨に集まる性質を持った薬(RI)を注射します。RIが骨の内部に吸収されると、骨が弱い放射線を出すようになります。その体内から放出される放射線から骨の画像を撮影することが出来ることから、RIが異常に高集積した所が病変部位だと判断する事ができます。なお、放射線同位元素は体内にほとんど害がありません。
骨髄 (コツズイ)
- 血液細胞(白血球、赤血球、血小板)をつくる「工場」のような場所です。すべての骨の中にあり、いろいろな成熟(成長)段階の血液細胞が存在します。骨髄にはすべての血液細胞に成長でき、かつ自分自身も複製することができる“血液の種”のような細胞(造血幹細胞)と呼ばれる細胞があり、この細胞からすべての血球がつくられます。また、充分に成熟した血液細胞(完成品)になるまで、骨髄(工場)から血液中に流出していくことはありません。
骨髄非破壊的造血幹細胞移植 (コツズイイハカイテキゾウケツカンサイボウイショク)
- 骨髄非破壊的造血幹細胞移植とは、白血病の治療として実施される造血幹細胞移植を、厳しい移植前処置を行わずに実施する方法です。移植後は免疫抑制剤を使用して移植された細胞の生着を図り、また、残存する可能性のある腫瘍細胞は免疫的に除去していきます。通常ミニ移植とも呼ばれています。
骨髄抑制 (コツズイヨクセイ)
- 抗がん剤の副作用の1つで、抗癌剤が正常な造血細胞にも障害を与えるために、正常な白血球、赤血球、血小板がさらに減少することをいいます。それぞれの細胞が減少すると、それに応じた症状が出ます。白血球がある一定の数以下に減少すると、感染症にかかりやすくなり、重症の場合は命にかかわる状態になることもあります。ほかに血小板が減ると出血しやすくなり、赤血球が減ると貧血になります。近年、骨髄抑制を軽くする薬も開発されてきましたが、いまも治療上の難しい問題のひとつです。
骨髄検査(骨髄穿刺) (コツズイケンサ(コツズイセンシ))
- 胸骨、もしくは腰にある腸骨に針を刺して、骨の中にある骨髄組織をとる検査です。穿刺吸引法(せんしきゅういんほう)と針生検法(はりせいけんほう)があります。穿刺吸引法は、胸骨もしくは腸骨から注射器で骨の中の骨髄組織を吸引する方法です。生検法では、腸骨に太めの針を刺し、骨髄組織を針の中に捉えて一部を採取します。採取した骨髄はスライドガラス上に薄く広げて染色した後、顕微鏡で観察します。これにより、造血機能や血液疾患の原因、さらに腫瘍細胞の有無などが明確になるため、血液疾患の診断や治療法の選択・治療効果の判定に使用されます。
5年相対生存率 (ゴネンソウタイセイゾンリツ)
- あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示すための指標で100%に近いものほど治療の効果があるとみなします。あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表します。